day 19 カザフスタンを通りアストラハンへ
夜が明けると、カザフスタンです。この辺りは緑の大地が広がっています。きょうは丸一日列車に乗り、ロシアを目指します。
ウズベキスタン国鉄 334Ф列車の時刻表。ウズベキスタンの首都・タシケントからロシアのサラトフまでの3279kmを、2日と17時間をかけて走ります。今回乗車するのはヌクスから、ロシアに入って最初の駅アクサライスカヤまで。距離にして1296km。時間にして約29時間の道のり。以前の北京~ハミの約30時間に匹敵する長時間の旅です。
ほどなく、ベイネウ(Beineu)に到着します。ベイネウはカザフスタンに入って最初の街。カスピ海フェリーの出るアクタウへ行く支線もあり、1970年代にできたこのカスピ海横断鉄道の要衝。多くの旅人が通っているクングラードからの国際列車はここが終点。ただ、街は思ったよりも小さくて、ここで乗り継ぎするのはなかなか辛そう。
今回はそのままロシアまで進む列車に乗っていることもあり、入国審査は列車に乗ったままパスポートを渡すのみで何の質問もなく無事終わり。ちょうどおなかもすいてきたので、食堂車に向かいます。食堂車で頼んだのはラグマン。ここのラグマンは汁が入っているラグマン。思いのほか美味しく、キルギスのオシュで食べた以来の“ベスト”ラグマンでした。
郊外に出るとステップが広がり・・・
ひたすらに広がるカザフステップの中を列車はまっすぐ北西に進みます。
しばらくすると、見渡す限りの塩湖が出現。空の色を反射した、うす青色の湖を眺めていると、自分がどこにいるのか分からなくなるような不思議な感じがしてきます。聞くと、はるか昔、この辺りは海で、その海底がその年の気候によって水が入って、塩湖が現れたり消えたりするそうです。これが見られたのはとても運がいいことなのかも。
しばらくして、ほぼ定刻に次の停車駅マカト(Makat)に到着。立派なモスクが見えます。
ここではおよそ30分の停車。長い時間列車の中に乗って退屈している乗客は、思い思いに外の空気を吸いにプラットホームに出てきます。
そんな乗客を目当てに、ホームには売店がいくつもあり、水や飲み物、お菓子、食べ物、子供向けおもちゃ、雑誌・新聞などなど、あらゆるものをを売っています。氷で冷やした冷たい飲み物も売っています。
日差しがきつい上に日影が全然ないので、外に出た人々も列車の影に入って休みます。
再び発車。コンパートメントの中でじっとしていればそこそこ過ごしやすい感じ。同室のおばさんがくれたソーセージを食べたりしながらぼんやりステップの広がる地平を眺めて過ごします。
所々、小さい街を通過していきます。どんな場所にも人々の営みがあるのだと改めて感じます。
そんな街中をよーく見てみると、なんと街中にラクダを発見!この辺りでは普通にラクダが家畜として飼われているようです。
続いてアティラウ(Atyrau)に到着。
貨物の輸送が盛んなようで、山ほどの貨車と機関車が。
このアティラウはカスピ海の港湾都市で、ウラル川の河口に位置します。ウラル川といえば、アジアとヨーロッパの境。ということは、このアティラウはアジアとヨーロッパにまたがる街ということになります。あまり実感はないけれど、ついにヨーロッパに入ったということですね。
そろそろ夕方なので、またもや食堂車へ。ラグマンかプロフか2つしかないはずのメニューどちらにするか考えながら行くと、食堂車の姉さんが「ピロシキはどう?」とうれしい提案。ということで、夕飯はピロシキ。実は列車の中で売り歩いているのを食堂車でも売っているということです。なので、この代金はピロシキ売りの兄さんに直接渡します。姉さんにはお茶代だけ50ルーブル。
そして夜となり・・・うとうとしながら過ごし・・・出国審査も済ませ・・・
ほぼ定刻のモスクワ時間22:40頃、ロシアの最初の駅、アクサライスカヤ(Aksaraiskaya)に到着。目的地アストラハンの北60kmに位置する鉄道の要衝。ここで降りて、アストラハンに車で向かうのですが、まず入国審査を受けてからでないと外に降りられません。しかし中々入国審査が始まりません。駅について30分後、ようやくパスポートが集められ、しばらくして車掌に呼ばれます。入国審査官がいるコンパートメントに連れて行かれ、質問を受けますが、ロシア語は通じない。すると審査官、スマホを取り出し、Google翻訳でロシア語を英語に翻訳。微妙に雑談みたいな審査を15分ほど受け、2時間後、ようやく外へでることができました・・・。
ここまで約29時間同室の二人。二人ともウズベキスタン人で、ウズベク語とロシア語しか話せないこともあり、あまり会話できませんでしたが、そのまま終点のサラトフまで行き、それから乗り換えてモスクワに行くそうです。どうやら、断片的な話を総合すると、男性は出稼ぎでモスクワに行くようで、これまではウクライナとかに行っていたけど紛争でもう行けないので残念だと。女性はどうやら親類の家に行くところのようです。優しく親切で、長旅も苦にならずに過ごせました。
さて、こちらは迎えに来てもらった車に乗り、霧の中をアストラハンへ。この駅に足止めされるのは嫌だったので、今回はホテルに迎えをあらかじめ頼んでおきましたが、アクサライスカヤで降りる人は結構いて、それを目当てにアストラハンまでのタクシーも沢山集まっていました。ここからの足はあまり心配する必要はなかったのかもしれません。
【今日の移動距離】カラカルパキヤから920km 【累計】10410km
ついに移動距離が10000キロを突破!
ちなみに記念すべき10000km地点は、カザフスタンのマカトとアティラウの間のようでした。