day 22(2) エリスタからボルゴグラードへ
エリスタのバスターミナルの時刻表。バスターミナルは鉄道駅と同じ場所にあります。鉄道の旅客営業はどうも現在は行われていないようで、他の街への交通はバスが中心のようです。朝9時に来たところ、次のボルゴグラード行きは11時とのこと。
切符。11時発、エリスタからボルゴグラード。8番の座席。635ルーブル(≒1300円)。購入はKACCAと書かれた窓口で、パスポートが必要です。チケットにも名前とパスポート番号が記載され、リストはドライバーにも渡されて乗車時にチェックがあります。
バスと思ったらミニバスでした。ドライバーや車掌は別にして、16人乗りぐらい。このバス、意外と海外では見ることが多くて、昔、東エルサレムからパレスチナ自治区のベツレヘムまで乗ったバスもこれだったような気がします。
どうやら、エリスタ=ボルゴグラードだけでなく、エリスタを超えてスタブロポリまで行くバスとしても運行している模様。
立ち乗りもいる満員ぶり。彼らはエリスタから1時間程度の途中の街(集落?)まで乗って行きましたが、直接ドライバーにお金を払っていたところを見ると、どうやらバスターミナルで売っている切符とは別にローカル輸送的なものもあるのかも。
徐々に人が降りてやっとひと心地。やや起伏のある草原を好調に走り抜けて行きます。
このままならボルゴグラードまで3時間ちょっとで着くかもと思いきや、途中の街に寄り道して行きます。ここはケチェネリ。エリスタから北に100キロちょっと。
次はサドヴォエ。建物にはスプートニクと書かれていますが・・・人工衛星のスプートニクにあやかったのでしょうか?
それぞれの街で10分ぐらい停車するので、降りて体をほぐします。
この街までがカルムイキア共和国。写真はありませんがこの街を発車してしばらくして検問所があり、全員の身分証明書とパスポートが回収されてチェックを受けました。
さらに1つ街に寄り・・・
遠くに工場のようなものが見えて来ました。
いよいよボルゴグラードの市街に。ここからバスターミナルまで飛ばしても30分ぐらいかかる大きな街です。
これまで見なかったような大きなショッピングセンターが。
結局、出発から5時間半かかってモスクワ時間16時30分にボルゴグラードのバスターミナルに到着。
ボルゴグラードの街並み。
このボルゴグラードは、第二次大戦時代はスターリングラードと言い、第二次大戦での最大級の激戦の一つ、スターリングラード攻防戦によって徹底的に破壊されました。凄惨な市街戦により、戦死者数は200万人、開戦時60万人いた市民は、攻防戦終結時点で9800人にまで減っていたと言われています。
スターリングラードはもはや街ではない。日中は、火と煙がもうもうと立ち込め、一寸先も見えない。炎に照らし出された巨大な炉のようだ。それは焼けつくように熱く、殺伐として耐えられないので、犬でさえヴォルガ河に飛び込み、必死に泳いで対岸にたどり着こうとした。動物はこの地獄から逃げ出す。どんなに硬い意志でも、いつまでも我慢していられない。人間だけが耐えるのだ。神よ、なぜわれらを見捨て給うたのか。
駅に到着。この噴水「子供のダンス」は、エマヌイル・エヴゼリヒンというロシア人写真家のスターリングラード攻防戦を報じる写真で有名になりました。今、ここに写っているのは2013年に再建されたものです。
駅の両脇にはスターリングラード包囲戦の時の兵士たちのレリーフが飾ってあります。
ここからは列車。本当は今朝にはボルゴグラードについて、一日ボルゴグラードを巡る予定だったのですが、アストラハンでの遅れが全く取り戻せないままなので、早速、モスクワを目指します。
時間があれば直接見に行きたかったのですが、ママエフ・クルガンの母なる祖国像を車窓から眺めます。思ったより厳しいお顔。
徐々に夕暮れ。
ところどころに現れる街と、草原を眺めながら、夕食。
明日はいよいよモスクワに到着します。
【今日の移動距離】690km 【累計】11,420km