Chopped Around the World 〜こまぎれ世界一周

世界一周はしたいけど、仕事は辞められない。 わずかな休みをこまぎれにつなぎながら、少しずつ陸路で世界一周を目指します。

day 11 今日も飛ばない

f:id:pristine:20160616235922j:plain翌朝。カシュガルの朝です。霞む空、今日も視界が悪いのが気にかかりつつ、空港に向かいます。

f:id:pristine:20160616235844j:plain相変わらず霧のような。この地域では時折砂嵐が発生し、視界が悪くなる時があります。思えば、列車も砂嵐でだいぶ遅れていたのでした。

f:id:pristine:20160616235630j:plain空港には来たものの、一向に飛行機がやってくる気配はありません。着陸できさえすれば離陸はそんなに問題ないはずなのですが…。視界の悪い中着陸させるには、計器飛行ができる機器を備えなくてはなりません。ターミナルビルは立派ですが、どうやらそうした設備はこの空港にはないようで・・・

結局、この日も夕方になりやはり飛行機は来ないということになり、ホテルへ。
せっかくなので、街に出て散策です。

f:id:pristine:20160616235646j:plain夜もなんとも言えない風情があります。モロッコや以前旅したシリアやヨルダンのような雰囲気。日本からウラジオストク、中国を横断してここまで、地域ごとにいろいろな街の表情がありますが、もうここは中東の文化圏なのだなと改めて実感しました。

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f:id:pristine:20160616235658j:plain屋台でご飯を食べ、

f:id:pristine:20160617000401j:plainホテルに戻ると、何やら慌ただしい動きが。聞いてみると、どうやら飛行機が飛ぶかもしれないとのこと。慌ててバスに乗り空港に向かいます。街中でのんびりしすぎていなくてよかった!

深夜0時ごろ、ついに飛行機が到着!!2日にわたって足止めされていた乗客からは、飛行機が着陸した時拍手がわいたほど。

f:id:pristine:20160617000607j:plain夜通しフライトし、真夜中のウルムチを経由して、翌朝上海虹橋空港にたどり着きました。

次回の旅はまたカシュガルから続きを旅します。

day 10(2) カシュガルの街

f:id:pristine:20160616231053j:plainカシュガル駅から街を目指します。今回の休みも短いので、今夜のフライトでウルムチに戻ります。なのに列車の遅れもあり…急がなければ。

駅から街中まではバスがあるということでしたが、どうにもバス停が見当たらなかったので、乗合タクシーに。4人揃うまでそんなに時間はかかりませんでした。

f:id:pristine:20160616231331j:plain少し走ると、旧市街が見えてきます。大きな観覧車のあるあたりで降りて歩いて街中に向かいます。

f:id:pristine:20160616231533j:plain共産党中央へウイグルへの援助を感謝するという看板。こういう看板が設置してあるあたり、ウイグルという土地の微妙な状況を感じざるを得ません。街中のこんなところにこの看板があるということは、感謝を表すためというより、党は援助をしているのだ、感謝しなければというメッセージを市民に向けて発信しているということでしょうから。

しばらく歩くと、旧市街に入ります。

f:id:pristine:20160616231922j:plainもう同じ中国の街とは思えません。ハミよりもさらに西域色が。

f:id:pristine:20160616232101j:plain羊を連れた少年。

f:id:pristine:20160616232149j:plainこの辺りは職人街のようです。

f:id:pristine:20160616232231j:plainおよそ中国らしからぬ「カシュガル」という街に抱いていたイメージ通りの街並みにテンションが上がります。

エイティガール寺院。

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街の広場も、歩く人々は完全にウイグル人ばかり。同じウイグル自治区でも、ハミはかなり漢民族の割合が高かったのですが、ここは漢民族の方が少数派のようです。

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f:id:pristine:20160616232532j:plainところで、ウイグル族の男性は皆帽子をかぶっています。

街中には帽子屋街みたいな一角があり、所狭しと帽子が並んでいます。

f:id:pristine:20160616232538j:plainお土産に一つ帽子を買った店の店主。カメラを向けるとなかなか渋くポーズを決めてくれました。

こちらの一角は再開発をしているよう。f:id:pristine:20160616233152j:plainカシュガルの旧市街では、古い家を新しい建物に建て替えているようです。

f:id:pristine:20160616233133j:plain雰囲気はあるものの、先ほどの街とは打って変わって整然とした再開発完了したエリア。便利で綺麗そうですが、ちょっとつまらないような・・・

旧市街を抜けると市場がありました。

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f:id:pristine:20160616233634j:plain市場の中は、かつて旅した中東そのもの。懐かしい感じ。

さて、一通り街中を散策したので、ウルムチへの飛行機に間に合うよう、カシュガル空港へ向かいます…が、

f:id:pristine:20160616233930j:plainなんと!視界が悪く着陸できないので、この日全てのフライトが見合わせ!ショック!!明日中には東京に戻らないと仕事の打ち合わせがあるのに・・・。果たして自分の乗る予定のフライトは飛ぶのでしょうか?これはやばい。

結局、夜になって今日は全て欠航するということになり、ホテルを用意するので全員バスに乗って移動するということに。東京から遠く離れたカシュガルという地で途方に暮れている自分はなんだか面白くもありました。

思いがけないカシュガル宿泊です。

【昨日から今日の移動距離】トルファンからカシュガル、1450km

【累計】6410km、ちなみに経度にして64度ほど。地球1/6周です。

day 10(1) カシュガルへ

f:id:pristine:20160615212205j:plain目が覚めると、外は靄がかっていました。一面の草原。

列車の遅れは変わっておらず、北京時間朝5時48分に到着するはずの巴楚(パソ)におよそ5時間遅れの10時50分頃到着。

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引き続きタクラマカン砂漠の縁を西に走ります。f:id:pristine:20160615213915j:plain

食堂車で遅めの朝食&昼食。

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f:id:pristine:20160615214125j:plainブランチという感じではないですが・・・

定刻より4時間半遅れて、北京時間13:55にカシュガル駅に到着。

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f:id:pristine:20160616224345j:plainダイヤが乱れているからか、プラットフォームのない番線に到着。線路上を歩いて出口に向かいます。

f:id:pristine:20160616224707j:plainついに着いた中国の西の果て、カシュガル。早速街に向かいたいと思います。

day 9 トルファンで乗り換え、そして南疆線へ

f:id:pristine:20160615003147j:plainトルファンには朝の5時半に着くはずだったのですが、砂交じりの強風が吹きつけていたせいで途中止まったり進んだりを繰り返し、4時間遅れで午前9時半過ぎに到着。

トルファンで乗り換える予定の、カシュガルへ向かう乗り継ぎの列車に間に合うか心配でならなかったのですが、

f:id:pristine:20160615004158j:plain砂嵐のせいで列車は軒並み遅れており、あまり心配する必要もありませんでした。

なので、駅を出て昼食を。

f:id:pristine:20160615004419j:plainトルファン駅はトルファンの街からは結構離れており、街並みは鉄道に関連する施設ばかり。あまり旅情は求むべくもないかという感じ。

例の牛肉麺屋があったので、食べてしまいます。

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f:id:pristine:20160615004429j:plainちょっとスパイシーな感じ。

少し物足りなかったので、もう一食はしご。店先でグツグツやっているこの鍋が気になったので入ってみました。極太の春雨みたいのに、肉と野菜が入ってなかなか美味しい。f:id:pristine:20160615004705j:plain店のお姉さんに写真を撮らせてというと、働いている感じのポーズを取ってくれました…

さて、乗り換え予定であった列車がかなり遅れているので、予約を変更して少しでも早めの列車に。

f:id:pristine:20160615005411j:plainそれでも、かなり待ち、定刻より4時間遅れの14時半にようやく列車が到着しました。

f:id:pristine:20160615005630j:plain普快の5826次。天山山脈の南麓、タクラマカン砂漠の北縁を通ってかつてのシルクロードの天山南路に沿って走る南疆線を西に向かい、33時間かけて終点の和田(ホータン)まで走る列車です。
今回は、この列車に乗り、新疆ウイグル自治区の西の要、カシュガルに向かいます。

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トルファンまで乗ってきた蘭新線の沿線とは違い、山がちな岩石砂漠を進みます。

f:id:pristine:20160615010458j:plainまだ11月の初めながら、外はダウンが必要な寒さ。徐々に標高が上がるにつれ、雪化粧した山々が・・・

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やがて、日が暮れていきます。北京時間で19時過ぎ・・・

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列車は引き続き天山南路をひたすらに西へ進んでいきます。

【この日の移動距離】昨日の嘉峪関からトルファンまで980km、トルファンから先は明日まとめて。
【累計】トルファンまでで(嘉峪関〜ハミは含まず)4960km

day 8 再び嘉峪関からスタート

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さて、次の休み。再び旅を始めたいと思います。今回のスタート地点は、嘉峪関。前回の終点、ハミから少し戻ったところです。ここは万里の長城の西の果て。かつては、いわばここまでが中国、この先は生きては帰れないかもしれない土地でした。

f:id:pristine:20160613225810j:plain嘉峪関までは上海経由。空港からまずは、以前、列車で通過した嘉峪関駅に立ち寄ります。

f:id:pristine:20160613225650j:plain立ち寄った理由は切符を手にいれること。ネットで予約しておいた切符を引き換えます。列車の発車は夜の7時。しばらく時間があるので、「嘉峪関」に立ち寄ってきたいと思います。

f:id:pristine:20160613225845j:plain駅から路線バスで向かいます。あちこち経由していくバスに乗ってしまいましたが、

f:id:pristine:20160613225854j:plainだいぶ郊外にやってきて・・・、およそ1時間弱で到着。

ここがあの万里の長城の端だと思うと、なかなか感慨深いものがあります。f:id:pristine:20160613225927j:plainはためく旗。

f:id:pristine:20160613225931j:plain会極とは、西部から来た大名や役人、商人、旅行者などがここで出会い、ここを経由して中国の王の皇居まで行く(朝貢)、という意味合いだそうです。

f:id:pristine:20160613225942j:plainこの先は砂漠が広がります。

f:id:pristine:20160613225946j:plain展示されていた「嘉峪関守衛図」

f:id:pristine:20160613225922j:plainさて、では自分も中国から西域へ旅立つとしましょうか。

再び、嘉峪関駅に戻り列車を待ちます。予感はしていたものの、見事に遅れ発生とのこと。到着は数時間遅れるようですが、いつになるかわかりません。f:id:pristine:20160613230102j:plain

日もとっぷりと暮れ、夜中の10時頃になってようやく嘉峪関を出発しました。f:id:pristine:20160613230109j:plain再び寝台列車の乗客となり、前回訪れたハミを通って、トルファンに向かいます。

f:id:pristine:20160613230114j:plain真夜中にハミを通過。今回はハミ南駅です。

窓に絶え間無く吹き付ける、砂交じりの風がやや不安を煽ります。

【今日の移動距離】寝台列車なので、明日まとめて。

day 7 一回お休み

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さて、休みは長く取れないもので、新疆ウイグル自治区までやってきた旅、ここで一旦休憩にします。ハミ空港から帰国します。ハミ空港は中心部からタクシーで30分ぐらい。

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ハミからはほぼ唯一の定期便就航都市、自治区の中心都市のウルムチへ。

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窓の外には砂漠の中に整然と作られた街が見えます。

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岩石と砂の地平が広がります。

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およそ1時間後、ウルムチに到着。

この後、ウルムチから国内線に乗り継ぎますが、なんと3時間近く遅延。東京までの便に乗り継げないというトラブルが発生!中国の国内線は遅れやすいとは聞いていたものの、まさかこんなことになるとは。

北京首都空港のカウンターも慣れたもので、翌朝の便に振り替えてくれ、この日は思いがけず北京泊となりました…。

day 6 (2) ウイグルの入り口、ハミ

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ウイグル最初の街、ハミを歩きます。北京から約2000km。もうここは完全に中央アジアの世界でした。画一的な中国の都市とは違い、明らかに違う文化圏に入っていることを感じます。

ハミ駅前からバスに乗り中心部へ。

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中国は全国一律で北京時間を使っているのですが、ウイグルは遠く西に離れており、実質2時間の時差があります。そのため、新疆時間と呼ばれる時間を使うことも多く、時間を尋ねるときはどちらの時間で言っているかよく確認しないといけません。ハミに着いたのは北京時間16時過ぎですが、新疆時間では14時。まだまだ日は高い時間です。

日差しはきついものの、木々の緑は淡く涼しげで、木陰を歩くと湿度も低く気持ちのいい気候。

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まずケイス墓を訪れます。ケイスはイスラム教を中国にもたらした宣教師で、600年代にハミの近くの星星峡というところで亡くなったとされています。そのお墓を移築したのがここ。お墓と言いながらもまるで過ごしやすそうな家といった風情。

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さらにそこから歩いてハミ回王墓へ。

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ふむふむ。やや怪しげながら、日本語の紹介もあり。

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かなり栄えた都だったようです。イスラム文化圏に入ったということを実感。

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街並みは西域の風情。

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ハミはハミ瓜というスイカが有名。市場にもハミ瓜が山積みに。

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標識や看板にもウイグル語が入ります。ウイグル語の文字は改良アラビア文字と呼ばれ1つの音素に1つの文字を対応させたものだそうです。

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しかし、この絵ってなぜこんな・・・?

宿に戻りテレビを見ても、明らかに違うタイプのCMが。

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しかしテレビの内容は中国。

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この頃はちょうど日本では集団的自衛権をめぐる論議が巻き起こり、中国では連日「日本の軍事的脅威」について積極的な報道が行われていました。日本はアメ リカやインドと連携して中国の包囲網を作りつつあり、中国は軍備を増強してその脅威に立ち向かわなくてはならないのだ、という論調です。